2004年11月09日

懐かしくも今となっては苦い作家たち…

BUBI さんの記事に懐かしい名前があった。「村上春樹」に「清水義範」。実は先日「さようなら、恩田陸」を書いたとき、知人に「清水義範」を語ってしまったんだよなあ。

永遠のジャック&ベティ
あのさ。恩田陸の『夏の名残の薔薇』。あれって下敷きが「去年マリエンバートで」でしょう? 「去年マリエンバートで」ってのは、映画好きなら誰もが見てる、そして誰もが確固たる評価を持ってる映画なんだよね。それを下敷きにしたにしちゃああまりに底が浅すぎる。「去年マリエンバートでっていう映画、知ってます?」なんてふざけた問いかけをしているようにも思える。「去年マリエンバートで」を知ってる人があの小説を読めば、みんなそっぽを向くんじゃないのかな。

似たような例に清水義範がいるんだよね。彼は『永遠のジャック&ベティ』なんていう凄い本を書いた。『国語入試問題必勝法』なんていうファンキーな本も書いた。同じようなコンセプトで書かれた『虚構市立不条理中学校』も笑えた。だけど彼は、あるとき編集者から変な言葉を吹き込まれたんだよね。その言葉ってのは「パスティーシュ」。編集者に「パスティーシュの第一人者」なんて持ち上げられたもんだから、彼の小説はどんどん底を浅くして、そのうちに「小説」なんて言えないもんになってしまった。彼は知識を得々と語る男を笑いものにした小説だかエッセイを書いていたはずなのに、いつか自身がそんな存在になってしまった。

そもそも「あなたは知ってますか?」なんて話を始めると、たいてい作家は終わるよね。一時流行した『あなたの知らない○×△』とかさ。「知ってるよ、そんなこと」ってのを得々と語り出して、そしてその語りが気持ちよかったのか、いつまでもよがり続けて終わっていくんだよね。

『永遠のジャック&ベティ』を人に勧めまくっていた私。その後の清水義範の変化になんか恥ずかしく思っちゃったな。


ところで村上春樹。

村上春樹が好きだ、というのは私たちの世代の男には難しいことかもしれないな(苦笑)。何かの文芸誌で「都市の文学、路地の文学」というようなタイトルで中上健次と比較されたよね。だから堂々と公言しても良さそうだけど、でも「いや、あの。。。ほら、鼠三部作の作家ね」なんて、作家名を出すのに躊躇ったりする。

風の歌を聴け実際、鼠三部作(『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』)は「好きだ」と公言しつつ読んでいたものの、クリスマス本(『ノルウェイの森』)で村上春樹から離れた人は多いんだよね。

私も勢いで『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』までは読んだものの、その後はすっかり興味をなくしてしまった。

鼠三部作を、ちょうど「同世代」として受け入れることができたせいかもしれない。でもそれを言うならば『ノルウェイの森』だって胸焼けがするくらいに同世代。だけど『ノルウェイの森』を読んで気持ち悪くなってしまったんだよなあ。

誰だったかな。私が無類の本好きだと知っている女の子に「この本は絶対に読め」と言われて『 アンダーグラウンド』(後注:最初、間違えてアフターダークと記載していました)を勧められた。勧められたので読んだ。

そして、その女の子とは会わなくなっちゃったんだよな(苦笑)。

投稿者 前田博明 : 2004年11月09日 18:47 | トラックバック
コメント

ふふ、なかなか辛口ですなぁ(笑)
清水義範作品は、ほぼ全て読みつくしてしまいまして、最近は読むと「あ、またあの話か」なんて思うまでに至りました。
最近は何を書いているのかな・・・
村上春樹は私の場合、「ノルウェイの森」のようなまともな話は、読みましたが、印象に残っていません。好きなのは「みょーな話」ばかりで^^;  「アフターダーク」はまともな話ですか?(笑) 

Posted by: BUBI : 2004年11月09日 23:57

薦められて『永遠のジャック&ベティ』と『国語入門必勝法』読んでみました。
とりあえず報告まで、おもしろ過ぎて感想が上手く書けないので(笑)。

Posted by: こばぴ : 2004年11月13日 00:38
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