ハンス・ピーチと仲間たち

 

置き碁

昨日、とあるプロ棋士とお話しさせて頂いて、「そういえば」と置き碁のことを書いてみる。

別の場所にも書いたが、最近の入門者は九路盤や十三路盤で碁を打ち始めることが多い。なので「置き碁」を経験しない人も多い。

私もそのひとりで、「置き碁は布石感覚などを覚える妨げになるんじゃないのかな」なんて勝手に想像していた。

五子局

上に掲載したのは五子局の開始場面(一般には1級・1段違いで1子置く。2級の免状には、「初段者と2子で打てる実力があることを認める」と書かれているらしい。1級の免状には初段と先番で打つ実力を認める、というようなことが書いてある)。

先に書いたように、「置き碁」が食わず嫌いだった私だが、弟子に囲碁を覚えさせる際に置き碁をやってみた。やってみてわかったのだが、置き碁は置かせる側にも非常に勉強になる。弟子が碁を覚え始めた頃の私と言えば、今から見ればぜんぜんダメなレベルだった。最初の3ヶ月のように、「キリ」が打てないなんてことはなかったが、それでも攻め合いの碁が苦手だった。

しかし。相手に石を置かせれば、「攻めはいやだ」とばかりも言っていられない。たとえば五子局ならば最初から相手に50目のハンデをあげているような感じ。その差を詰めるには攻撃せざるを得ない。私はこの経験でかなり実力を上げることができた。

そして。その経験を元に、ウワテの方に対して石をおかせて貰って対局するようになった。最初は攻めに行くタイミングや守るタイミングがぼろぼろで、石を置く意味が全くない碁を打っていた。しかし、しばらくすると置いた石を効率的に使うことを覚えてきた。

よく言われることだが、置き碁の黒は、序盤で圧倒的優位に立っている。置いた石を機能させれば、相手が打ってきた石を攻めながら自分の地を固めていくことができる。

そのようなところから、「石を働かせるとはどういうことだろうか」とか、「自分の強い場所で戦うとはどういうことか」ということがわかってきた。

単純に自分の地を囲っていくのではなく、相手が守らざるを得ない手を打ち、その「ついで」に自分の地を確定させる。こうして「攻め」を覚えてくると、「攻めることの意味」も次第に理解できるようになる。初心者のうちは、「攻める」とは「相手の石を取ること」だと思いがち。しかし、「攻め」と「石を取ること」は似て非なることだとわかるようになる。

もちろん。置き碁を打てば即座に互先の碁に強くなるというわけではない。置き碁の時には、相手の石が常に「弱石」として存在する。しかし互先では一方的な弱石というのは存在しないわけで、置き碁から互先に移ると、そのあたりで躓いてしまう。

しかし。今度は「弱い石が存在しないのなら、弱い石を作ってしまえ」という発想が生まれる。弱い石を攻めて得をする方法は、置き碁でしっかり学習済み。そして「相手に弱石を作らせる」ことさえできれば、その石を攻めて得を納めることができるようになる。

このようなわけで。

置き碁は、自分が置いても置かせても、非常に役立つものだという認識に至った。私と同様の理由で「置き碁」を嫌っている人も多いと思うけれど、これは絶対に有効な学習法。機会があればぜひとも置き碁を打ってみて欲しい。


置き碁のメリット(まとめ)

  • 置かせる側に回れば、「攻め」と地合の計算に敏感になる
  • 置く側に回れば、石の効率や攻撃の感覚が身に付く
  • 置き碁はウワテにもシタテにも有効な学習法

 

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