2005年01月25日

N埜さんが疑問に思う囲碁上達の道のり

そうそう、昨日の記事に書き忘れたんだけど、N埜さんの疑問はもうひとつあった。それは「前田さんはよく本手を打てと言いますが、それで相手が頑張ってきたときに遅れないか不安になるし、それにやっぱり『さっきの悪手が好手に化けてる!』みたいな手を打ってみたいんですよ」。

まずひとつ目。「手が遅れるんじゃないか」の不安について。

これはね。経験で感じて貰うしかないんだけど、「遅れる」不安を感じたとき、「やばいっ」と焦るんではなく、「いっそのこと徹底的に遅れてみるか」と思って一局を打ってみてください。最初のうちはそれをやると負けると思うんです。でも負けが十目とか二十目とかで、そんなにヒドク負けるわけではないことに気付くと思うんですよ。その碁を経験してから「あれ、俺あんなに遅れて打ってたのに十目しか負けてないの?」という驚きを体験して、そして「ならあそこの勝負所だけもうちょっとしっかり打っていれば勝ったんじゃないの?」なんて考える。

私がこういう「遅れまくるけど細かい碁」を初めて打ったときは衝撃でしたよ。囲碁ではよく「順番に打つんだからひどいことしなきゃ、そんなに惨く負けることはない」と言いますが、それを実感することができます。それを実感すればもう有段者まであと一歩。

それに自分が「しっかり」打ってるときに相手が「頑張ってくる」のは大チャンスなんですよ。「頑張る」ことは「隙」に繋がりますからね。一方が本当にしっかり打っているのなら、相手の「頑張り」は、いつか「借金」として現れてくるはずなのです。

次に「格好良い手」を打ちたいということについて。

これはいろいろ難しいけれど、「格好良い手」は基本的に「単一の局面ではあり得ない」という認識を持つと良いんじゃないかな。「悪手が好手に化ける」ってのは、ある局面で見ると悪手なんだけど、他方面との攻防の絡みで好手に化けるんですよね。だからそういう手を打つためには全局的な判断力と読みの力が必要。

級位者のうちは、全局的な判断なんてのはできても、全局的な読みはちょっとできないと思うんですよ。「ここはこうなる相場」っていう知識もないし。

N埜さんが言ってるのは、たぶん「格好良い手」ってのは「頑張る」ところから生じるんじゃないかということじゃないかと思うんですよね。でもこれは、とくに私レベルくらいまでについて断言すると「そんなことはありません」。頑張ることから生じるのは「隙だけ」と思っても良いくらい。

え〜、そんなことなら囲碁とは決められたことを単調にやっていくだけなの? と思われちゃうかもしれない。それは「ある意味で」正解です。最初から最後まで独創的な手で碁が打てるわけじゃない。決まり切ったことをしっかりこなすことが碁の第一歩。

でも、もちろん碁はそこで終わりじゃない。まずは「決まり」がちゃんと打てるようになり、そしてその「決まり」のコンビネーションがいろいろと打てるようになる。この頃にだいたい有段者になります。そしてそのコンビネーションをいろいろ判断するうちに「手抜き」とか「先にこっちを決める」なんてことができるようになってくる。そんなときになってようやく、「ヒカルの碁」に出てくる「さっきの悪手が好手に化けてる!」という手が打てるようになるんです。

もちろん。「囲碁の楽しみ方」も人それぞれ。5級くらいになれたらそれで幸せって言うのなら、最初からずっと独創的な手を打って楽しめばいい。それを否定するつもりは全くない。

でもね。「うまくなりたい」と思うのなら、上に書いたような手順を踏むのが最短だと、少なくとも私は信じています。「俺はもう初段ではあり得ない」と、そう思ったときに見える囲碁の世界って本当に魅力的で楽しいものです。「5級くらいで同じ棋力の人をやっつける」なんてのより遙かに楽しい。そういう世界を見て貰いたいななんて思ってるから、ちょっと傲慢だなと思いつつ、エラソーなことを書きました(^^)。

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投稿者 前田博明 : 2005年01月25日 14:22 | トラックバック
コメント

「徹底的に遅れてみるかの一局」いいアイデアですね。トライさせていただきます。

Posted by: マダマダ : 2005年01月26日 00:22

マダマダさんに閲覧して頂いているのはちょっと恥ずかしく感じる「エラソーまえだ」です(爆)。

でも「徹底的に遅れてみる」は、少なくとも私の中ではジャイアント・ステップでした(^^;。でもな〜、マダマダさんくらい強い人にはあまり効果がないかもな〜。

「あのまえだってやろー、なに下らないこと言ってんだよ」と思われそうでちょと怖い…

Posted by: まえだ : 2005年01月26日 10:36

前田師匠も過大評価とは参りました。
幸か不幸か対局も対話もネットを通してなのであまり露見していませんが、私の中には「こんなことも知らねーのか」のタネがてんこ盛りです。メッキが剥げる前に少しずつ身に付けたいものです。

いまさらながらですが、こちらのプログは上達のヒントが満載でいつもありがたく拝見してます。コメントされなくても多くの方がご覧になり参考にされていると思います。

Posted by: マダマダ : 2005年01月26日 21:15
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