さて、アンチ「囲碁は自由だ」派の私の「カタチ」講座(笑)の第二回。今回も「布石」です。題材はひと桁級〜初・二段くらいまで楽しめる『依田ノート』より。
序盤でこんなカタチになりました。あ、ちなみにこういう図があると「手順」を考えてみるのも良い勉強になったりします。本図は黒二連星に白向かい小目。ここまでは順番に打ったと考えて良いでしょう。そして黒が左上にかかってツケヒキ。で、白が先手を取り左下シマったところに黒が下辺星下。そして白が右辺にワリウチしたところですね。
前回の問題に比べるとかなりレベルが高いですね^^。右辺だけ見るとどちらからツメても全く同じカタチです。
あ、そうそう。「なんでAかBが候補なんだろう?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。上辺を打って「白の発展を妨げる」なんて考えた方いらっしゃるでしょうか? 私の弟子の中には何度言ってもこの図で上辺(しかもツメ」を打つ人もいます(笑)。
この図、この段階で上辺を打つことは「まずあり得ないカタチ」だと知って欲しい。左上の白のカタチ。これは単にツケヒキをキメタだけのカタチですが、これがもう鉄壁なんです。黒がツメていってもピクリともしないカタチ。そんなところにツメていっても無視されるか、むしろ逆に弱石として攻められることになる。そんなツメははっきり悪い。「手の良し悪しなんてわからない」と言い続ける人もいます。しかし「そこからお互いに最善手を打ったと仮定すると」という前提で考えると、相手の強い石に近づく手は「悪いカタチ」と認識されており、そこから「厚みに近寄るな」という格言も生まれているのです。
それから下辺。せっかく星下に打ったのに無視されたから「怒ってみたい」と考える方もいるかもしれません^^。たとえば左下小ゲイマジマリに向かって二間のヒラキ。確かにそれは考えられない手じゃありません。先日の記事に書きましたが、左下のカタチは下辺に向けてパワーを溜めている手。で、あれば二間に開いて相手のパワーの発揮を制限しているのではないか? うん、その考えはあり得ますよね。ただ、左下隅の白のカタチもかなり「強い」んです。「厚み」とは言いません(近寄ればいろんなアジも出てくる)が、最初からそんなに強い石に近づくのはよろしくない。
そんなわけでまず、候補は右辺に絞られてくるのです。
まず目に付くのは右上の黒が「ひとりぼっち」だということ。ひとりぼっちだからなんとかしたいと考えるかもしれない。本当はBと詰めずに小ゲイマにシマリたいと考えるかもしれない。
でもね。これも私がよく言う(ってか、囲碁の常識なんですが^^)んですが、星からのシマリってのは結構小さいんですよ。大ゲイマにシマっても三々が空いてるし、小ゲイマにシマっても、さすがに三々は打ちにくくなるけど裾ガカリだのなんだの、いろいろ鬱陶しい技が飛んでくる(笑)。星に打った以上、隅は「地」ではなく「拠点」くらいに考えてる方が気楽。かつ、相手が近寄ってきてから「拠点を確かめる」くらいに考えておくのが普通です。
そうして考えると、右上は確かにひとりぼっちだけど、まだ近くに相手の石も来てないわけだから、小ゲイマや大ゲイマにシマルという考え方が間違ってるのがわかる。
では答えはBなのか?
回答に飛びつく前に、下辺星下に打った石のことを考えてみましょう。下辺星下に打った石は、左下白のシマリを制限する意図でした。しかし囲碁で置いた石にひとつの役割しかさせてはいけないというルールはない。相手が打ってこなければ右下星と連絡して、下辺を地化させる役目を担わせてもいい。囲碁は最終的には地の大小を争うゲームなので、右下の星から、下辺星までの地になれば「それなりに大きい」地となります。
なんだ、それなら14の十七あたりにシマルのが大きいんじゃないの?
それも「小さくはありません」。でもその手、ただ守るだけの手ですよね。それに先にも書いたようにケイマのシマリにはまだ裾ガカリなんて手が残される。じゃあ15の十七、コスミでしまったらどうなのかと考えるかもしれません。それもあり得ないじゃないですが、すると今度は星下との間が四間と広いのが気になります。いずれのシマリも、「ただ守るだけ」で相手に響いていない以上、次に相手からどのような手が飛んでくるのかわかりません。
「地になればでかいけど、単純に地化しようとすると相手から技が飛んでくる」。そんなときに使うのが「模様」という技術。
黒Aと打ったところを想像しましょう。白はワリウチした石を放置するわけにもいきませんから、普通は17の七に二間開きするのがカタチ。黒は右上隅をコスミで守るでしょうか。それで一段落。
で、一段落した際の右下。色を塗ってある辺りに生じた黒のカタチを「模様」と言います。
さほど大きな模様ではないんだけど、この模様がそのまま黒地になれば、まあ黒は負けません。このまま地になれば黒は負けない? それは逆に言えば、白がこの黒模様に対して「手出しせざるを得ない」ということです。
白はたとえば右下の星にカカリ(14の十七)なんかを打ってくるかもしれない。でもそういう「打ち込み」は大歓迎。打ち込んできた石をイジメルうちに、右下の地を確定させ、左下の白のシマリを無効化させ、かつ場合によっては右辺で二間に開いた白への攻めを見る。
全部説明していると長くなるので別項に譲ります。ただ、「単純に地化しても消されておしまい」になりそうなところで使う「模様」という技術は覚えておいて損はないですよ(^^)。この「模様」という技術は、初級突破の重要なキーである「ムサボリ」や「ヤキモチ」の話とも繋がってくるんですが、それはまた別の機会に。
と、このように考えて打つのが囲碁の「カタチ」です。こういうふうに考えて打つためには、最初から「変なカタチ」を打たないのがわかりやすい。「個性」とか「着想」とか「自由」なんてのは、こういう基本のカタチを踏まえた上に生まれてくるものだということを理解して欲しいのです。
投稿者 前田博明 : 2005年04月09日 16:55 | トラックバック碁盤、碁石、碁盤上のアルファベット記号のいずれも小さいので、プリントアウトすると見にくいです。
すいませんが、大きくしてください。
wordに碁盤がコピーできないので、そのままコピーしなければなりません。よろしくお願いします。