相手が両小目に打ったときの普通の打ち方も並べておこうと思いつつ、「あ? なんじゃこれ」と思った棋譜(苦笑)。第56期本因坊戦。王銘エン本因坊に史上最年少で張栩六段が挑戦した碁です(棋譜ダウンロード)。
張栩挑戦者の黒番。張栩現名人本因坊以下略の碁を見慣れていると、この黒1、3はなんだか感動的だったりしますね(笑)。
尚、この黒1、3は非常によく打たれるカタチですが、私は数えるほどしか打ったことがありません。あまりに「誰でも知ってる変化」になっていくのが面倒くさい^^。でも向かい小目を外されるとこう打つことになることもあるわけで、それもあって最近はこういうカタチを並べていたりします。
白4、黒5となるのがまあ相場。相場というか基本のカタチ。黒5で黒3をシマルのはほとんどない。もちろん下でシマルのが手割的に不利とかそんなことじゃなくて、黒1、3とあるときに、黒5とシマルったときの全体の働きを感じて欲しいと思うんですよね。
ちなみに、昨日も書いたんですが、この黒5までのカタチを見せて聖健先生はどう打つの? と尋ねてみました。聖健先生の回答は「私はこの図を打ちません」と(笑)。黒1、3となると空き隅を打たずに秀策流に持っていくのが高梨聖健八段の流儀だとか。ふむふむ。少なくとも注文は外してるよな。今度その図になってる棋譜を並べてみます。
白6は、まあ誰に聞いても「分かりやすい手」と推奨される手。石倉講座でもこれを取り上げていました。黒7、白8、黒9もほぼ定石みたいなカタチ。でも見たことないのが白10。Gobase でも1件しかヒットしない。弟子がこう打ったとしたらこの石の意味を徹底的に問いつめる手(^^。
「なんなんでしょう、これ?」と聖健先生に尋ねてみた。「う〜ん、P6 に飛びたくない気持ちになったんでしょうねえ」と(笑)。「いや〜、飛びたくないと言っても反発されるのは当然で、なんだかアツミ(のようなもの)に近づいてる感じにも思えるんですけど」と私。「黒にQ14とかに受けて貰うのが狙いだったんでしょうか」と聖健先生。ああ、なるほどなあ。そういうこともあり得ないではないか。
でも黒は黒11に当然の反発。白P6と手を戻さざるを得ず、白14・16とサバキを探るんだけど黒21までとなって、私だったらこの黒は絶対に打てない^^。上辺下辺に貯金され、シノギが必要になった右辺下方も地は望めず、右辺上方を逃げるうちに白のテリトリーだった左辺もぼろぼろになるはず。
黒51に白52は、私には「格好良い反発」に思えるんだけど、黒59を利かされるんだからまあ相場か。
いろいろあって。黒71に対する白72は格好良い(^^)。「おめーの石だって生きてねーんだぜ」。右下、上辺で貯金され、左上すら包囲されそうな現状では、まあ反発しないとしょうがない、、、と、言うか、こういう反発を想定しての白10ではあったのでしょう。
ここからはゴリゴリとお互いのシノギ筋を模索。黒も苦しい感じだったんだけど、苦しい中で黒127なんて「得する手」を打っている余裕のある黒が良い碁だったでしょうか。
黒145まで、左辺の大石を潰されてしまってはもはや碁にはなりません。
尚このシリーズ。結局は王銘エン本因坊が防衛するんですよね。「二日制の碁ではまだ相手が強い」と張栩現名人本因坊以下略が言ったのもこのシリーズだったでしょうか? なんだかこういう時代があったんだと感慨に浸る碁でもあります(^^)。
投稿者 前田博明 : 2005年04月26日 10:50 | トラックバック