さて、本日は『厚い碁の作り方』(羽根直樹・日本棋院)から1局並べてみました(棋譜ダウンロード)。
この本、碁に「厚い薄いがあるんだ」と知った昔に購入。「作り方」と書いてあって、なんか理論書っぽいんだけど、でも実は羽根棋聖の打ち碁集。私としてはあまり好きな本じゃありません。まあ最近、棋譜を並べられるようになったので「ああ、そういえばあんな本もあったな」と。「羽根棋聖も昔は厚い碁の典型と言われていたので勉強してみようか」と。
で、本日並べたのは1999年の名人戦三次予選決勝の羽根直樹七段(当時・黒)と苑田勇一九段(白)の対局。苑田先生についても、弱い頃に彼の本を読んで余計弱くなったという因縁のある方です(笑)。
尚この棋譜、羽根棋聖が「厚み」で勝ったというよりも、いろいろと技が決まって勝ったふうに感じるんですけどね…。それは私が「厚み」を誤解してるせいかもしれませんが…。
まず。白6。私、ここを白から高く打つのをあまり見たことがありません。普通一路低いですよね。なんとなく「転がしとく」という感じの着手だと感じます。
黒9のスベリを無視する手は当時はまだ比較的「新しい」かった手。最近はむしろ普通に受けると驚いたりして(笑)。で、この黒9を無視するのは普通だけど「へ〜」と思ったのが白10のツメ。「そこが『生きてる石から一番遠い』場所なのか」と聞いてみたい^^。
そこからしばらくはごく普通の折衝。黒27のハネだしは呉清源氏の棋譜で覚えた(^^)。「当たり前」の手だけど「呉清源で覚えた」なんて言うとちょっとカッコイイ(笑)。
そしてこの碁で一番驚いたのは黒31。あ、また31手目に驚かされているな。。。やっぱり何かあるかもしれない。で、この黒31は「え、もうそういう季節なの?」って感じ。まだ広いところもたくさんあるのに四線の石へのツケなんかを打ってる。ここへのツケはまあ形なんだけど、このタイミングでここなのかなぁ…。
で黒61まで、左下黒が地を頑張っての分かれとなります。ところでここで羽根棋聖の解説。
(左下は黒の地が大きくなって、そのかわりに中央に白の大模様が形成されましたと書いて)先に実利に固執すれば相手に模様が出来るのは、当然の結果。私の碁ではよくあることなので、ほとんど気にしません。
いずれ厚みを生かし(原文ママ)、置き去りの石の活用も忘れないで、ちりちり減らしに出るのです。
と、書かれています。
う〜ん。私の認識(思い込み?)では、先に実利に固執するというスタイルをあまり「厚い」とは呼ばないように思うんですよね。確かに後で相手に寄りついていくためには「厚み」が必要ですが、この碁での減らし方は「厚み」による減らしではないように感じます。
実際、この碁で白の厚みをどう減らしていったかと言うと、黒65と相手の模様の中への打ち込み。羽根棋聖はこの打ち込みが「ほどよいところ」と言ってるけど、私の感覚では深いなあ(どっちの感覚が正しいかは言うまでもありませんが(大笑))。こういうところから減らしていかなくちゃいけないのはやっぱり「厚い碁」と思えない。
確かにその打ち込んだ石のシノギは見事。でもその後も右下を生きなくちゃいけないことになっていたり、さらに黒113のツケなんていう「技」使わなくちゃいけないんだものなあ(まあそのツケごときを「技」と呼ぶのは変かもだけど)。
並べてはみたものの、ちょっと面白くない(偉そう^^)棋譜でした。
投稿者 前田博明 : 2005年04月07日 13:41 | トラックバック