今日の講義は「ハサんで攻める」。講師は孔令文先生。
左の局面。置き碁でわりと良く出るカタチ。白が右上の石にカカリを打って黒が一間でウケ。そこで白がすかさず打ち込みというような局面。ここで黒がマガリトンで中央に顔を出すという展開。
これ、まあ悪くはないんですよね。相手への攻めも残ってるし。白の打ち込みや最初のカカリにコスミ付けたりするよりは百倍マシ。でもこういうマガリトビって両ノゾキが残ります。初心者の方はしばしばこのカタチに両ノゾキを打たれて崩壊していく。
じゃあどう打つのが良いのか。まあこの図ではあり得ないんだけど、周囲に白がもっと多いのであれば、一間に飛んだ石からの上コスミ(13の五)がすごく簡明な打ち方になる。「いや、でもこの局面では?」と言えばたとえば10の三(上辺星下)などへのハサミが積極的でいながら、かつ簡明な打ち方になります。
挟まれた白はかなり弱い石になってしまって、上辺で生きるなら中央に向けてのカベができるし、カベができたら右辺の白石も相手の厚みの近くでありながらなんとか生きを確保しなくちゃいけない。置き碁での黒の基本戦略である「白を忙しくさせる」ことができるようになります。また、白が上に逃げるなら右上と左上は黒地として確定させることができそう。
とにかく「黒の石によって白を動かす」のが大事な点ですね。
ただこういうハサミ。初心者のうちはなかなか打つことができません。なんとなれば黒は白のカカリに「ウケ」たことにより、「隅に権利を持った」と考えてしまうからなんです。「私、ちゃんとウケたんだから隅は私のものでしょ?」と考えてしまう。挟んで相手に滑られたりすると、「私の権利」のはずである隅が完全に侵略されてしまう。慣れてくれば全くそうは考えなくなるんだけど、初心者のうちってのは「自分の権利」(という思い込み)を侵害されるとパニックになって何をすれば良いのかわかんなくなってしまう。
そういう打ち方に対して、先人達は「序盤から地を考えるな」と言い、とにかく「白にラクをさせない」ことを教えてるんですが、なかなかそれを理解できるようにはならないんですよね。
私はしばしば弟子たちと置き碁を打つときに、手合いよりも多めの石を置いて貰うことがあります。それによって、よりラクに私の石を「操縦」してもらいたいから。「ほら、白逃げろ。逃げてみろよ。ほーら大変だろ!」とやってみて欲しいんですよね。そういうときには全く「地」のことなんて考える必要はない。「地」を権利と考えるんではなく、「相手にウケさせる」ことを権利と考えると、また違った碁が見えてきます。それでも相手にアマされたりして、すぐに勝てるってわけじゃないんだけど、そういう「打ち方」を経験するのは大切。
で、授業後の組み合わせは私はコバピと。
今日はいつも組み合わせをする先生とは別の先生が組み合わせてくれたんだけど「え〜と、前田さんとコバピさんは三子くらいですか? 五子くらいかな?」。私とコバピの関係を知っている人は一斉に失笑^^。私が言っておいた。「ああ、今コバピとは打ち込み碁の最中なので、今日は十二子です」。聞いてた令文先生はもちろん「生意気なこと言うウワテがいますねえ(苦笑)」と(笑)。
で、十二子局。左の図を見て貰えばわかるけど、白困ってるでしょ(笑)。この碁もやっぱり「お願いします」と言ってから、しばらくはどうしたもんかと思って着手できなかったもの^^。九子だと「ま、どうにかこうにか」なんて思って、とにかく石が少ないところ(大場)に着手していくんだけど、十二子になると「石の少ないところ」がほとんどないんだよな(笑)。
アシスタントの先生方も通りすがりにじっと盤を見て「う〜ん、あり得ない」とか「これが碁になるわけがない」とか(笑)。アシスタントの先生方は私とコバピの棋歴が同じことを知ってるしね(大笑)。
で、この碁。当然のように白が全然ダメ。どこかで白が得をすると、「自動的に」黒がその倍くらい得してしまうという流れ。しょうがないから必死に荒らしてたんだけどね。私のノゾキにもちゃんとコバピはツイでくるし(笑)。
ところがこの碁。結局私が逆転しちゃったんですよ(涙)。きっかけはやっぱりノゾき。私のノゾキじゃなくて、コバピが私の石をノゾいて「きてくれた」んですよね。私がどうサバこうか苦労してた石をコバピがノゾいてくれたおかげで、部分的に黒よりも白が強くなってしまった。それによってコバピの石を五子くらい抜いてラクラクのシノギ。コバピはちゃんとこのブログを読んでくれているはずなのに、私たちレベルの打つノゾキがたいてい悪手であることをちゃんと覚えてくれてないのかなぁ。
もちろん五子抜きのシノギくらいで黒が悪くなるわけがないんだけど、そこでコバピの集中力が途切れてしまったみたい。さらに私に十五子の大石を抜かれた。しかもコバピはその石を抜かれたことに気付いていないみたい。しょうがないから「そっか、捨てますか」と呟いて教えてあげたけど。
でも実は。それでも黒は悪くなかったんだよね。その時点で黒80目、白60目+くらいだった。私は半分「ああ、ここまでやってまだ追いついてないのならこりゃ負けたかな」と思ってた。で、最後の望みの石があったんだけど「なんとかそこのダメが詰まらないかな」なんて考えていたところ、、、
でましたよ、コバピのムサボリ(笑)。コバピ自らアジワルのところのダメを詰めてくれて、自分の十子くらいをシノグのにコウを頼らざるを得なくなった。当然に私が仕掛けて、コバピはコウを避け十子くらいは敢えなく頓死。
まあ貪ったところがそれなりには地になってたからこの時点で白がほぼ追いついたという感じ。左右フックにアッパーまで喰らった感じのコバピはここで「投了したいです」申告。私にもアジの悪いところがあったので、ちょっとどうなるのか読めなかった私はF先生を呼んでみた。「先生、コバピが投了したいって言ってるんですけど、まだ結構細かいんですよね」。盤面をじ〜っと見て下さったF先生。「う」と。その「う」には「そうか、ここまでやられるか」とか、「ここまでの段階でここまでやられてはしょうがないか」の意味が含まれてました^^。F先生の表情を見て私もコバピの投了申請を承認。
九子からはじめた打ち込み碁。ついに井目風鈴に辿り着いてしまいました(爆)。十二子局で負けてしまった「同期のコバピ」に慰めの言葉をかけてもしょうがない。終局後は取り敢えず叱っておいた。「君ね。そこ忘れてました、みたいな手で勝ってもこっちとしてもアジが悪いんだよ。もうちょっとちゃんと打ってくれないと困るよ」。
まあコバピのために言っておけば相性もあるんだろうな。君はちゃんと巻幡先生に九子で勝ったりしてるわけだから、私に十二子で負けるのは「異常」。だけど「同期」の私に勝つことは君の自信になるはずだ。次は十三子なんていうふざけた石計になるけど、とにかく、何子でも良いのでしっかり勝って、そして自信をつけてくれ。
投稿者 前田博明 : 2005年04月18日 23:00 | トラックバック