( ;FF[1]GM[1]SZ[19]PB[坂井秀至]BR[六段]PW[高尾紳路]WR[八段]EV[NHK杯]RE[B+R]KM[6.5];B[qd]C[最近、初手が星だと「珍しいですね」とか言われるようになってきましたね。 小目は ・もう一手入れると大きく隅がまとまる ・シマッタときに相手の打つ場所がほぼ一箇所に決まる ・中央への勢力も星に比べてさほど遅れるわけではない ということでまた打たれ始めているんですかね。私はまだ初手小目に置く自信はないのです。] ;W[dd];B[pp];W[dp]C[とか言いつつ、初手以外みんな星になりましたね(^^;。白の二連星って、結構珍しくないかな。 私は黒が両小目の場合のみ二連星に構えます。] ;B[oc];W[qj]C[黒は隅をほぼ確定地とし、さらに白の打つ手をこの場所に制限している。 「白、他に打っちゃいけないの?」。いえ、もちろん良いですが、白が他のどこに置いても黒は Q10 かもしれない。それくらいに大きな場所なのです。] ;B[cn]C[私たちレベルの打ち手ですと、うち右辺を打ちそうですが、黒は「最も広い」場所に先着しました。] ;W[fq];B[cf]C[この打ち方は、取り敢ず私レベルくらいでもお勧めしない打ち方。 この打ち方はあり得るし、たまに打ちたくなることがありますが、初級者のうちにこのような打ち方をすると、碁をいたずらに紛らせることになるだけということが多いです。 まずは「しっかり」打つことを覚えた方が良いですね。] ;W[dj]C[白はまあ当然のところ。] ;B[fc]C[黒はやや「勢い」かな。 でもこの打ち方があり得るからこそ C6 にかかって、ウケに対してまた C14 にかかるなんてことができるわけですね。 つまり両ガカリを打って、その後がどういうワカレになって、そしてC6あたりの石がどのような形で動き出すことになるのか。そういう辺りが読み切れていないのなら C6-C14の連続技を使ってはいけないのです。] ;W[df];B[dg];W[ce];B[ef];W[de];B[fe];W[ec];B[eh];W[fb];B[en] ;W[gk]C[ここを逃したからと言って、左辺中央の白が丸飲みされると決まったものではありません。 だけど彼我の「強さ」関係上、逃すことのできないところ。 黒は上方が強くなってきたので、その強い方からは離れておきたい」というのが大ゲイマで下寄りに打った理由ですね。] ;B[gn];W[cp];B[gc];W[gb];B[ic];W[ik];B[gp];W[gq];B[ip];W[qg]C[自分の根拠を確かめつつ、加えて中央上部に出現しそうな巨大黒模様を制限する意図です。 ここで初心者のうちは、相手の模様を制限することばかりに目が行って P13 なんかに打ったりするんですね。 でもこういうところでは、自分の石を「しっかり」させておけば P13 などに打たなくとも相手の模様は消せるのです。] ;B[hq]C[左辺から伸びている白石、それに右辺に構えた白。 両方への攻めを見ながら、黒はどこかで大きく得をしようと思っています。 その得の場所が下辺になったとき、ここを抑えておかないと「裾空きを囲うんですね」なんて笑われる事に成りかねないので抑えておきました。 もちろんそんな思惑がなくとも大きいところには違いありません。] ;W[qn]C[白は、黒の「攻めてるうちにどこかで得をするぞ」作戦を見抜き「そんなに得はさせないぜ」と、ややウスイながらも黒に「まとまった地」を作らせないようにと考えています。] ;B[fp];W[eq];B[kk]C[まずは白の芯を止めます。 ここを拠点に左右白への攻めを見つつ、そして上辺ないし下辺の「成長」を見ているんですね。] ;W[gi];B[bo];W[bp];B[ki];W[jh];B[ji];W[ih];B[ii];W[hi];B[hh] ;W[hg];B[gh];W[fh];B[gg];W[fg];B[gf];W[fi];B[cj];W[ci];B[bi] ;W[bj];B[ck];W[bh];B[di];W[ch]C[白はなんかいやな感じで分断されました。 しかし左辺はほぼ生き。中央の白も「まあ良い形」となり、D11辺りの狙いも残した。 上辺の黒が大きくなってきましたが、そんな「全部打つ」ことはできないわけですからね。R13や、J-K12 の石を眺めつつ、上辺にアジを求めていくところ。] ;B[pf]C[黒地がだんだん大きく見えてきましたね。 で、初心者がやってしまうのは「そんなに大きな黒地はいやだ!」と、JK12あたりの石から動き出すこと。 まあ確かに中央黒には若干のアジがありますが、自分も弱い JK12 から動き出せば、「弱い−弱い」の関係でもがくうち、いつの間にか相手の石に対するアジが霧消してしまいます。 ここは「相手の弱みをそのまま残し、かつ相手の地模様となりそうなところをケス方法がないか?」と頭を捻る所。] ;W[nc]C[そう、こんな塩梅。R13にも石があるし、比較的手になりやすい隅も睨んでる。そして遠く白石がへばり付いてる辺りの黒石に存在するアジを見てるんですね。 うまいじゃないですか>白、、、って当たり前だっつーの(爆)。] ;B[lc]C[黒はもちろん白を攻めます。そして攻めてるうちに中央黒のアジワルを解消したい。 O17 の石を「絶対に取らなくてはいけない」などとは考えません。 O17 が逃げる打ちに、へばりついてる三子ないし右辺の白が相対的に弱くなっていくはずです。] ;W[ld]C[「サバキはツケから」。 黒は簡単にサバかせるのも嫌だし、かと言って真剣に取りに行って中央黒のアジワルを強調されるのも嫌。 黒がちょっと対応に悩むということは、白からすれば妥当なサバキ筋なのでしょう。] ;B[kd];W[ke]C[サバきたいときは斜め斜めですね。ここでM15が一般的な石の形かもしれませんが、この局面での M15 は石が重い。] ;B[md]C[ここで M16 を逃げるのも重いですね。逃げて逃げられないこともないかもしれませんが、すると右上隅、上辺、そしてことによると右辺も白の確定地となりかねません。 中央の黒にはまだアジが残っているし、その部分に白石が入り込んだことに満足して、別のシノギ筋を考えてみます。] ;W[od];B[le]C[黒もここはかなり気持ち悪いのでまずポンヌキ。] ;W[pc];B[qc];W[ob]C[そして白もお返しのポンヌキ。 まあポン抜いてしまえば、一応部分的には白の成功。死ぬ石ではなさそうです。 いや、もちろん白の成功はあくまで「部分的」ですよ。黒は中央部分のアジを緩和し、それにより中央白、右辺白への圧力を高めています。] ;B[qb]C[地的にすごく大きく、かつ白をまだ完全に生かしはしませんよの手。] ;W[qf];B[pe];W[pd];B[pb];W[nd];B[mb];W[nf];B[pg];W[lf];B[mg] ;W[me];B[ld];W[mf];B[ng];W[lg];B[qh];W[lh];B[mi];W[nb]C[黒は結局、へばり付いていた白石の動き出しを許しました。しかし右上は大いに得をし、そして右辺の白もすごく弱くなった。 中央の白グループ(G11グループ)へのいじめを見て、かなり良い形勢ですね。] ;B[hf];W[kb];B[jd];W[mh];B[nh];W[oe];B[rh];W[li];B[lj];W[of] ;B[eg];W[ei];B[dh];W[dk];B[bk];W[bf];B[hl];W[dm]C[黒は中央白を攻めている様子を見つつ、下辺をまとめてしまうないし右辺の白二子を取ってしまいたい。 ここを手抜いても黒がすぐまずくなるわけじゃないし、あとを丁寧に囲って行けば黒優勢に変わりはないかもしれない。 でも石を攻め続けられるかどうかはとても大きな違いですからね。ノゾイた瞬間のノゾキ返しは結構悔しいですが、ここは受けておくところ。] ;B[dn];W[gl];B[hm];W[hk];B[qp]C[中央の白がなんとなく生き形になった瞬間に地的にむちゃくちゃ大きいところ。もちろん右辺二子への攻めも見てます。] ;W[ni]C[これは白にとっての保険。三子を取り込むことで、右辺白のヘルプとなりそうな手ですね。] ;B[mj];W[ph];B[qe];W[og];B[em];W[dl];B[aj];W[ij];B[on]C[右下がみんな地になったら終わってるでしょ。かと言って強引に打ち込んできても生きるかわからないし、それにそんなことしたら右辺はほぼ間違いなく落ちるよね。 黒のこの手はそんなことを語っています。] ;W[oq]C[そりゃこんなところを全部囲わせるわけにはいかないよ。結構単独で捌けそうな気もするし、右辺は右辺でキキスジもあることだからなんとかなるよ。 白はそんなことを語っています。] ;B[pq]C[なんか凄い形ですよね。石の形だとか効率だとか言い始めると、この形はなかなか打てません。] ;W[mq];B[or];W[mn];B[el];W[ek];B[nq];W[nm];B[om];W[nl];B[ol] ;W[nk];B[ok];W[nj];B[pi];W[jf]C[右辺白二子がほぼ落ちてしまいました。 白は上辺黒のアジを追求しつつ、かつ中央黒に手がないモノか探っています。] ;B[if];W[jm];B[kn]C[中央の黒、そうとうヤバそうに見えますね。しかし、ここでL7に直接遮ってくれば L12 からの手で凌いでますか。うまくできてるもんですね。] ;W[no];B[km];W[pj];B[oj];W[oi];B[qi];W[jl];B[kl];W[nr];B[op] ;W[np];B[oo];W[oq];B[kq]C[黒、右辺に50目くらいありますから、コウは「別にいいよ」って感じ。それよりも「大きな得はさせません」って感じなんでしょうか。] ;W[pr];B[nq];W[hb];B[oq]C[上辺の黒に対する攻めを受けなくて良いというのは格好良い読みですね。 まあ上辺を受けても悪くはないと思うんですけどね。既に黒勝ちの結果は出ているところ。] ;W[ig]C[白は黒に手抜かれてしまったので、「俺の手は無意味ではなかったはず」と確認しておきたいところ。 結局 D12 あたりの黒グループが落ちることになるわけですね。白としてもそれなりに大きな手を打っていたわけでした。] ;B[jb];W[lb];B[mc];W[ma];B[kc];W[la];B[hd];W[ff];B[je];W[fd] ;B[kf];W[jg];B[ee];W[ge];B[gd];W[ed];B[ib];W[cg]C[二十目くらいの手? でも右下のコウを仕掛けた白がひどいことになってるし、また右辺の黒がとにかくデカイ。 白が小さな手を打ったわけじゃないけど黒の勝ちは動かない。 そんなわけで白はそろそろ投了です。] ;B[ap];W[aq];B[ao];W[br];B[nn];W[kp];B[jq];W[ko]C[投げ場ということでこのあたりの黒への攻めをみてみましたが…] ;B[lo];W[lp];B[mo]C[白からの手がないことがわかりましたので投了となりました。 なんだか左辺両方にかかられたところから、黒の「打ち回し」が目立って、白はほとんど勝つチャンスのない碁でした。 最後の勝負手気味のコウもあっさり継がれて、白はかなりいやな負け方だったんじゃないですかね。 と、いうわけでプロの碁を、おこがましくも私たちレベルにひきずり落として棋譜解説としてみました(^^;。 私たちレベルでは、まずぎりぎりのところでの読みはどうでもよくて(^^;、取り敢ずは石の方向を感じたいもの。 それからこれもしょっちゅう言うことですが、プロであっても手を入れるべきところには入れるんです。というか、むしろプロの方が手を入れるべきところには入れる。 ちょっと碁が打てるようになってくると、すぐに手抜きを考えてしまいがちですが、「手を入れることが碁を遅らせるわけではない」ということをきっちり理解してください。])