( ;FF[3]GM[1] SZ[19]PB[芦田磯子]BR[六段]PW[梅沢由香里]WR[五段] ;B[pd]C[そうそう、この碁盤、下の碁笥みたいなところをクリックすると着手手順を消すことができますよ。 消した方が見やすいかと思います。];W[dc];B[qp];W[dq];B[oq];W[cf]C[「来いやっ」の気合いの手。 で、気合いを入れつつケイマではなく大ゲイマにして、上辺に開かせようとしているんでしょう。 ここ、後の展開を見ると小目に打ちたいんですが、しかしここ小目だと黒はあっさり右辺。そうなるとちょっと「気合いの空回り」を心配しなくちゃいけなくなります。] ;B[ic]C[「開きすぎ?」と思う人もいるかもしれないので書いておきますが、右上に自分の石がある場合は、ここまで開く手もよく打ちます。 右上隅が白であれば当然 K16 ですね。 で、ここは相手の左上が大ゲイマでちょっとウスイので、より一層こちら側に寄せたくなるところです。] ;W[qj]C[ここが盤中最大。梅沢五段は大ゲイマに締まればここを打てると踏んでいたんでしょうね。] ;B[ql];W[qg];B[qe];W[kc]C[これは打ちすぎの感じもあるんだけど、でもちょっと逃せないか。 ここを打つことにより、白には「やや」弱い石が3つできることになるんです。 でも「弱い場所は複数作れ」とも言うんですね。弱い箇所が一箇所だと相手にそこを狙われるけど、複数弱い場所があれば、相手がどこかを攻めてるうちに他場所が勝手に強くなるからです。] ;B[fc]C[こうなったとき、左上隅が小目であれば後顧の憂いなく思い切り打てます。 しかしここを小目にしていると右辺が打てなかったでしょう。しょうがないですね。] ;W[nc];B[oc]C[石倉先生の解説でも言っていましたが、ここは Q18 にトビ下がる方が後が打ちやすい。 まあしかし、ここをコスミ付ければ白はニリツニセキ。棋理に言う「ニリツサンセキ」よりも石の効率を悪くしているのでこう打ちたくなるところではあります。] ;W[nd];B[pg]C[黒の隅はもはや「強い石」ではありません。ですからここはどちらかというと「サバキ」なんですね。ですから付けてもいい。 さらにこの右辺の石と上辺の石を見て欲しい。 黒は右辺の石を攻めるよりも上辺の石を攻めたいのです。 理由は? そう、黒のF-J17 にある石が「比較的」弱いんです。ですから上辺の黒を攻めて、その勢いで自分の石を強くしたい。 もっというと上辺の石が強くなってくると左上の大ゲイマは「薄すぎる」くらいになるわけです。 「攻めの方向」が大いに参考になる一着です。] ;W[ph];B[og];W[qf];B[pf];W[qc];B[rf];W[rg];B[ob];W[re];B[rd] ;W[sf];B[rc];W[ke]C[白は辛抱の一着。 ここ、手を抜いてもすぐに死ぬ石じゃありません。 しかし、ここを攻めて上辺(FーJ17)の黒が一方的に強くなると困るんです。そういうことを見てのトビです。 こういう手を見て「この形はトビか〜」とだけ覚えると、碁がすごく甘くなってしまいます。] ;B[ie];W[de]C[繰り返しになりますが、大ゲイマなのでここに一着必要になってしまった。 しかし、ここに一着入れれば上辺の黒は依然として「相対的弱さ」を持っています。 白はちょっと癪ですが、まあ「自然」ですね。自分ばかりが良い目を見ようと思ってもダメなのが碁です。] ;B[iq]C[大きい。こうして大場を打って上辺白への攻めを見ているわけです。 しかしこの打ち方は白からの打ち込みを誘うことになります。 どうせ全部は地にならないんだから、ここはむしろ一般的なかかりを打っておいて良かったようにも思います。右下隅の黒が盤石ですから、その盤石の石から動き出している印象が拭えません。] ;W[co];B[fq]C[白の小目−コゲイマのシマリは、隅の地はもちろん確保しているんですが、本来的には下辺に向けて勢力を持っている形なんですね。 黒はF3に打つことによって「そのシマリ、地だけの手になっちゃいましたね」と主張しています。 すなわちお互いに言い分は通っているわけです。] ;W[eo]C[手厚い。 加えて、先ほど黒に「地だけの手になっちゃいましたね」と言われたので「そうかしら? 左辺への勢力は相当のもんですよ。隅の地にしてもこんなに大きくもらっちゃったら大喜びですよ」と言い返してる。 碁が「会話」だというのはこういうところ。そして碁が強くなると「陰険」になるというのもこういうところ(笑)。] ;B[jn]C[私はこの手は嫌いです。まるで伝説の(?)「依田の三十一!」みたいな手ですが、ちょっと隙が有りすぎて迫力を感じません。] ;W[ln]C[当然のケシですね。ここに打っておけば下辺、右辺ともに打ち込むチャンスが出てきます。] ;B[ol]C[黒、手厚い手なんですが、やや単調とも言えます。 即ちこう打てば白は中央に一間飛びをするのに「決まっている」んですね。相手が悩まない手は一般には良い手ではないと言われます。 ただ他に打ち方があるかと言えば、まあこんな塩梅。それを考えると K6 の一着がおかしかったのかということになる。 もちろん。 この碁は私の1万倍ウワテ(笑)により打たれているので、黒はK6を打った時点から、M6へのケシ+中央への飛びを予\想して、そしてその石を攻めることによる利益をしっかり計算しているのだとは思います。] ;W[ll];B[jl];W[lj];B[pi]C[私はこれが敗着(まだ決着していませんが)じゃないかと思います。実戦もそうですが、ここ、白は利かない。 黒がここに打って、そして白がさらに一間飛びできたおかげで、白は一方的に守るのではなく、攻めを見ながらシノギが打てるようになりました。] ;W[lh];B[qi]C[Q11を打った以上、こう打たなければしょうがありません。] ;W[ri];B[pj];W[qh];B[oh]C[黒も一応カタチを作りましたが、ここはさほど急ぐところではありませんでした。 もちろん黒も「急いで」打ったわけではなく、利くと思って打ったんでしょうが。] ;W[oe]C[但し、この白もちょっとどうかと思うんです。 白は、石のシノギから見れば黒が一手パスしてくれてすごく楽になってる。楽になった以上、単純に石を継ぐような手は逆に打ちにくくなっているんですね。相手が緩んでしまった所で得をするというのが碁の駆け引きですから。 なので、ここに先手で石を持ってきて、そして上辺と中央のツナギを省略して打とうと考えました。省略できればすごく得ですから。 しかしこの碁。実は黒に薄い所がたくさんある。下辺もそうだし右辺も狙える。もちろん上辺の三子も狙える。 で、あるならば、白はここで得をする必要はなかったということになります。ここを愚直につないで置けば、白はもっと楽になったと思います。] ;B[pe];W[jj]C[私はツギを省略しましたよ。私が得してますよ。そしてこう打てば黒石のウスミばかりが目立つでしょう? と、白は主張しています。] ;B[hj]C[黒としても自分にウスミが残っているのは重々承知。そこで考えることはなんですか? 「ウスミを守る」? ぶぶ〜っ。それは「コバピ」な回答です。黒はあちこちに隙が有りすぎて、とても「守ります」といって守れる碁形じゃない。 であれば、使い古された言葉ですが「攻撃は最大の防御」。白が愚直なツギを打たなかったアジワルを突いて、白石を狙っている「ことにする」のが最大効率なのです。] ;W[hh];B[ig];W[ih];B[kg];W[lg];B[jh];W[ji];B[mi];W[li];B[hg] ;W[gh];B[lf];W[mf];B[kf];W[ng];B[le]C[白はこれで中央と上辺は繋がっています。しかし今度は新たにH11の切りが見えてきてます。 P15からの一連。白はちょっと頑張りすぎた感じです。しかし「頑張る」のは棋士の宿命。しょうがないのかもしれませんが、少なくとも私は「他で打つ」チャンスを見るべきだったと思います。] ;W[lp]C[相手の地を消しつつ、自分の安定を求めています。 くどいですが右上を愚直に継いでおけばここは「攻めるだけ」の場所になったはずなんですね。もっと思い切った手が打てた。 右上で頑張ったせいでここを頑張ることができなくなった。碁を難しくしていると思います。] ;B[me];W[ne];B[mh];W[mg];B[dg];W[cg];B[di]C[この手を打たれて白は後悔したと思いますね。 好きばかりが目立つ黒石なのに、なんだか「攻め」が「機能」してしまっている。 黒の攻めを機能させたのは右上での「継がない」という選択です。] ;W[hl]C[アマ同士の実戦であれば。と、いうか私レベルの低レベルの実戦であれば、白はもう妥協して守ってしまっても白勝ちとなりそうです。 しかしこれはプロ同士の実戦。自ら頑張ることによって相手の攻撃を誘発してしまった。である以上白も頑張り続けるしかなくなっています。 いや、私はまだ白にはどこか守ってしまう余裕があるように思いますけれどもね。] ;B[ik];W[gj];B[gk];W[fj];B[hk];W[fk];B[ef];W[dk];B[hn];W[np] ;B[op];W[fd];B[gg];W[jp];B[jq];W[gp];B[fp]C[ここで前半終了。 ちょっとこの突き出しは読んでなかったのかもしれない。 黒はちょっと怖いところです。と、いうのもF5に抑えられると切っていくことになると思うんですが、そのときF3、F4の黒がちょっと不安。 でも実は抑えてすぐ切らなくても曲がってしまえばまだ白に利いてるし、さらに中央から伸びてきてる石に対する利きにもなっていそう。 もう既にここはF5に抑えたくないところですが、でも抑えなければ「ケイマのツキヌキ」になってしまって「馬鹿」と言われる。 白はここでちょっとマイナスですね。 しかし。 全局で見れば白地が大きく、かつ黒には依然として隙が目立つ展開です。 一応黒の攻めが機能\してしまっているわけですが、白の大石も死ぬ石じゃない。白にはまだ「ああ、ちょっと冷静になったら私はまだ守る余裕があるんですね」と手を入れて白勝ちに流れ込むと考えます。])