2003年01月20日

「献碁」 −講義−

ピーチ先生が亡くなる事件があり、本日の講義はお休みで、生徒・講師の方全員による献碁を行った。

ハッピー・マンデーは、石を持ったことのない人から、1年くらいの棋歴を持つ人までさまざまな人がいる。その人たちが順番に石を置いていく。初心者の人、急速に上達した人、ちょっと伸び悩んでしまっている人。

不思議なことに。「この局面、この人には難しいかもしれないな」と思うときにも、皆、なかなかの手を打ち続ける。「碁が壊れてほしくない」。そんなみんなの思いと、私たちの先生であるピーチ先生に捧げる碁なのだという気持ちが、この碁に結実したのかもしれない。

ドラマチックに過ぎて、眉唾に思えてしまうかもしれないけれど。「ピーチ先生、私たちは碁が打てるようになりました」という気持ちは確かにピーチ先生に通じ、そして良い着手を打たせてくれたんだと思う。

尚、クラスの方にも「教室にピーチ先生の名を残そう」の署名をお願いして、皆さんに快く応じていただいた。教室にはピーチ先生の写真が飾っていて、じっと見るとまた汚いオヤヂノナミダを見せてしまうところだった。

でもね。ピーチ先生。もう既に「私もピーチ先生に教わりたかった」なんて人がいますよ。僕はもっと大勢の人に「私もピーチ先生に教わりたかった」と思わせます。指導碁盤をたくさん用意して待っていてください。

献碁の後はフリー対局。

今日はまず棋歴4ヶ月の女子高生と対局。組合せを決める方が2子でとおっしゃるので、それなりに強い相手なのだと気を引き締めて厳しく打った。結果は… 100目対30目程度の大差。う〜ん、序盤厳し目に打っていたので中盤以降に調整するチャンスはなかった。「負けすぎっ」と、彼女は笑っていた。

彼女の打ち手は面白かった。こちらが下からえぐっていくと、必ず上からコスミで押さえつけてくる。前日に棋聖戦での山下敬吾の打ち筋を見ていた私は、彼女もまた山下のように自由自在に中盤を制するタイプなのかと思って地を稼ぎに稼いでしまったわけだ。

序盤の数手を示し、基本的にはやはり隅や辺を大事にした方が良いことを伝えた。後に彼女は秀策の棋譜などを並べつつ、早大囲碁部の人(たまたま来ていた)の解説を聞いていた。こういうふうに、きちんと勉強していけば、私を超えることなどはたやすいはず。

「その棋譜はヒカルが泣いてしまった棋譜だよね。ほら、佐為のこの手なんか四方八方睨んだ凄い手だとか言ってたでしょ」(有名な「耳赤」の棋譜)と言うと「え、これがそうなんですかっ!」とちょっと喜んでいた。

この日は他にもいろんな人と、石を置かせて対局した。ある人と五子局で打った碁のみ負け。五子だとさすがに入り込むのが苦しい。おそらくは入り込んで行っても石が死んでしまうことはないのだろうけれど、そんな無理手を打つのは碁じゃないかもなと思いつつ、素直に打っていたらやっぱり負けた(笑)。

この五子で私に勝った女性は、どうも「遠慮」が過ぎる。まあこれはつい1、2ヶ月前の私と同じ欠点だから偉そうには言えないのだけれど。私がカカルと、必ず凹んで受けてしまう。ここで相手を叱るテクニックを身に着ければ強くなると思うんだけれども。

親切な人(?)を相手に、「死んでもいいや」という気持ちで厳しく打っていればそのうちに感覚が掴めると思う。

弟子。今日は、年配の方に二子置かせてもらって対戦していた。弟子曰く「初めて打つ人とはやりにくいです」。結局2局打って2局とも負けだったらしい。私と二子で良い勝負をすることもあるのだから、力的に見て二子で連敗するほどとは思えないのだけれども…。

相手の方は「私の手に騙されているんですよ」なんておっしゃっていた。でも騙し手は私で慣れているはずなんだがな。明日からはもっと騙し手を打って鍛えることにしようか(笑)>弟子。

弟子二号の対局はほんのちょっと見ただけ。ただほんの10手程度の中に、8手も手拍子の手があった。相手は攻めるのが好きな人なので、そういう人を相手に手拍子で打っていては絶対に勝てない。まあ、、、そういう碁を楽しんでいるようでもあるから何も言うまい…

先に話した早大囲碁部の人。高校生に指導しながら「棋譜を並べるのって、初心者のうちは何時間もかかると思う。でもタイムトライアルで並べてみて、その時間が短くなってくればそれだけ上達しているんですよ」と言っていた。

なるほどな! いいこと言うじゃないか>早大囲碁部。

私は実は目が疲れてしまって(と、こういうときだけ年寄りを言い訳にする(苦笑))、棋譜を全部並べたことはこれまでに1、2度しかない。そして「棋譜並べは有効かもしれないけれど、私はもうちょっと強くなってからにします」なんて言い訳していた。

しかしこの早大囲碁部の言うタイムトライアル。これは確かに良い指導方法かもしれない。並べるのが早くなるということはすなわち、「手筋」がわかってきているということだ。「並べる速さ」は時計で測れば結果が即座に目に見える。きっとモチベーションも上がるだろう。

「今度暇なとき」、と相変わらず言い訳をしつつ、私もこの訓練を取り入れてみようかと思っている。

投稿者 前田博明 : 2003年01月20日 23:00 | トラックバック