2003年02月19日

「定石とタイミング」 −フリー対局−

最近もまた自分の棋力向上を日々感じる私。今日は下手の方、2名と対戦。

最初の方(今年の1月に碁を始めたそうだ)と打つときに「何子置きますか?」。

何気なく出てきた自分の言葉にちょっとびっくりした。以前までは、相手に三子以上置かせるのは、はっきり言って恐怖だった。碁では、隅がもっとも地を作りやすく、そして効率も高い。辺の発展性や厚みの活かし方など全くわかっていなかった私は、二子置かせるだけでほぼ勝利を諦めてしまうような実力だった。

ところが最近。上手の方に五子で打ってもらったりしているので、逆に相手に五子置かせた時にどのように戦うべきかということが理解できてきた。昔は三子も置かせれば「騙し手」連発で勝利をもぎ取っていたんだけれど、最近は敗勢明らかなときしか騙し手を使わずに済むようになった(笑)。ま、敗勢明らかになれば、ちょっとは上手の意地を見せておかなくちゃいけないかな、なんて思って…。もちろん言い訳だ。

思うに。

最近になって、ようやく「ヨセ」以外の局面での先手・後手を意識できるようになったのだと思う。「ヨセ」の局面での先手・後手はわかりやすい。しかし中盤の戦いは相手が受けようが受けまいが関係ないところに置いてしまいがち。孔先生にも言われるけれど、「かわいそうな手」を打ってしまいがちだったわけだ。「あなたの打った手。私がこう受ければイラナイ手になるでしょ?」。

そんなことを言われてイジメラレていた私。最近になって「なるべくかわいそうな石を作りたくない」と、一手一手の意味を考えることができるようになってきた。

結局二局ともに勝利。最初の方は、いわゆる定石的な手よりも得をしたい、と無理手を打つ傾向があるようだった。確かに初級者同士で打っていると、定石よりも「ガンバル」手を打てばそれだけ得することが多い。しかし上手と打つとその「ガンバリ」は結果的に咎められ、定石よりも損をすることが多い。

まあこの「損」は体験してみないと理解できないので、上手と打つときにはもっともっと「ガンバル」手を打って、その手によって生じる結果を体験してみるのも良いんじゃないかな。

二番目に打った方は「先手を取りたい」という意識は持っているんだけど、それをうまく実戦に活かせない感じだった。ちょっと一カ所での戦いで、最後までキメすぎる感じかな。キメて得られる利益と、よそに回って得られる利益の比較がまだできていないのかもしれない。

まあ、「よそに回るタイミング」なんていうのは「碁の本質」みたいなところ。「ここはどれくらいの得になるんだろう?」ということをもっと意識して打てば、先手を取って相手を攻めることがでできるようになるだろう。

弟子は。おそらくは教室で私の次ぐらいに強い女性と対戦。「今度彼女と打たせてもらいなさい」と言い続けていたんだけれど、今日は彼女が入ってきた瞬間に「あ、いいとこにきた。弟子と打ってやって下さい」と。

相手の女性にコートを脱ぐ間もほとんど与えず(笑)すぐに対局開始。私の判断ではいい勝負になるが、最後は相手の方の棋力が上回るだろう、という感じ。

ところが。

弟子が秘密特訓でもしているのか、相手の方が弟子をナメタのか。序盤はいきなり弟子の大きなリード。そこで師匠はもちろん弟子にプレッシャーをかけた(虎の穴方式)。「君ね、この序盤を見て黒白どっちが持ちたいかと言えば、百人中百人が黒を持ちたいと言うよ。これで負けたらかなりショックでかいよ」。

弟子も序盤での優勢は十分に意識していた。

しばらく席を外し、十分後くらいに戻ると局面がやけに紛れていた(笑)。相手の女性の方は、師匠である私が見ている間は緊張していたんだろうか? 私の指導のおかげで手抜きすることの大きさ、先手を取ることの重要さを意識している弟子。しかし、局面が紛れたときに、手抜いたところに手を入れるべきか否か、弟子は混乱してしまうらしい(笑)。かつ、今日相手をして頂いた相手は混乱が深まれば深まるほど、そこにシンプルな着手を見いだして大成果を上げるのを得意としている(彼女も私同様、インケンなところがあるに違いない(笑))。

結局弟子は混乱の中で石を殺させてしまい、敗戦となったようだ。弟子よ、優勢であれば1手の損をしてもシンプルにした方が良い局面もあることを覚えておきなさい。

この戦い、弟子はかなり印象に残ったらしく「あそこで手を入れていれば」とか、「あそこで違う風に打っていたら」などと一所懸命検討していた。うん。さらに弟子にプレッシャーをかけておくことにするか。

弟子よ、次に打てば君は必ず勝てる。序盤であれだけリードしていて負けるわけがないんだよ。

ふ。相手の方にもここを見てもらって「何言ってんの? 私の方がまだ上でしょっ!」という勢いで、弟子を鍛えるお手伝いをして頂こう(笑)。よろしくお願いします>相手の方。

投稿者 前田博明 : 2003年02月19日 23:00 | トラックバック