先週の水曜日は五回目の水曜日でお休みでした。
今日の講義は「好形と愚形」。面白い授業でしたね〜。あ、そうそう、授業の前には重大発表。高梨先生の妹さんが、山下敬吾棋聖と結婚することになったとのこと。「ええ、彼は収入的にも申し分ない男だと思います」と冗談を飛ばしてました(笑)。
で、授業。好形と愚形を講義するのにもってこいの形。初心者のうち、実戦にもよく出てきます。

この形、黒が二目の頭をはねられて、さらに伸びを打たれた瞬間。もうこの瞬間に打つ気をなくしてしまうくらいにひどい形。
ただ、他で忙しくてこの形になってしまったらどう打ちますかという問題。
まず初心者のうちに一番打ってしまいそうなのがA。相手の石が来たのでそこを守るという考えは理解できる。でもAに打ったときにできる形は「空き三角」という愚形の代表。この空き三角が唯一の解となり、好形になることもマレにはあるけれど、初心者のうちは「空き三角を打ったら負け!」くらいに思っていてもいい。石の働きに乏しく、かつダメも詰まりやすいので絶対に避けたい形。たとえばAに打ったあと白からBに打たれると、黒はさらにCに打って断点を守る必要がある。黒はどんどんダンゴにされてこの後良いことは何もない。
Cもまた空き三角につながる形でだめ。黒は棒石となって「取って下さい」とお願いしているような着手。
Dはそれなりに働いている形なんだけれど、次に白からBと打たれるとウッテガエシの手筋で黒二子が取られる形となり、もう一手守りを入れなければいけなくなる。
で、解答はB。二目の頭を跳ねられてしまった以上、「これで黒は完璧ね」とはならないけれど、でも最善のシノギ方。実戦にもよく出てくる形なので覚えておいて良い。
あと、今日の授業でやったのは「手抜き」の大事さ。「打っても得しないところには着手しない」。この手抜き感覚が実戦に活かせるようになれば、あっと言う間に5級くらいは実力が伸びる。見るだけで初心者対局に感じられる凝り型の碁から脱却できるようになる。
講義終了後、今日は7月から参加している大学生(男子!)と七子局で対局。彼は結構な打ち手に育ちつつあり、中盤まではほぼ完璧に打ち回していた。ただあまり碁を打つ機会がないせいもあって、石の競り合いになってきたときに大石を殺してしまった。
う〜ん、この辺り。基本的には「経験」しか解決の方法はないと思うんですよね。ネット碁でもやってみてはいかがでしょうか?>件の男子。序盤は、本人的には不満だったかもしれませんが、とても良く打てていましたよ。
あ、そうそう。その男子。対局が終わってから「ちょっとひとつ良いですか?」と質問をしてくる。「なんですか?」と言うと「前田さん、人の石がたくさんあるところに打ち込んできますよね。あれどういうつもりで打ち込んでいるんですか?」と。
あはは。「どういうつもり」は良かったな。
この対局、黒も自分の形を信じられずに、ちょっと無理をしたり固く守りすぎたりするところもありました(七子局の実力差なら無理ない範囲)。だからその無理しているところのアジを追求するために打ち込んでみたんですよね。「相手の石も弱いときには、少々無理気味な手を打ってもなんとかなるもんなんですよ」と回答したけれどわかってもらえたかな。そういうアジを残さない打ち方を「厚い碁」と言います。「厚さとは何か」と意識していろんな本を読んでみると勉強になると思います。
投稿者 前田博明 : 2003年11月03日 23:00 | トラックバック