- 級位者と置き碁とシタテ打ち
「手が荒れてきてますね」。
これは私のことをとても評価してくれている棋院職員の方が、しばらく前の私の碁を見てぽろりと出した本音。言われた瞬間はとても傷ついた。「シタテとばかり打っていると手が荒れるんですよ」。そうも言われた。その言葉も、いろいろとあってハッピー・マンデーに拘っていた私を大いに傷つけた。
もちろん、こちらが傷ついてしまったのはこちらに思い当たることがあったから。自分の手が碁になっていないようには感じられてた。それに棋書にはよく「二子程度のウワテと打つのが上達の早道」なんて書いてある。自ら望んで級位者の集う教室にいた私。「もうちょっと実力をつけないと、ハッピー・マンデーにいる意味もなくなるんだぞ」と、怯えてもいた。
残念ながら碁会所などに行く勇気もなかった私。とにかく棋書を買って勉強し、そしてたまに打って貰えるウワテの方々の打ち方を必死に覚えようとした。
「ウワテの方は、シタテに石を置かせるときも、最初から勝つに違いないと思いながら打つんですか?」なんてことをウワテの方に質問したこともあった。「置き石があるんですから黒の形勢が良いのは当たり前。で、こちらは普通に打つんですよ。それで形勢がよくならないんなら置き石の数がおかしいんです」。そんな回答を聞いて、ちょっと安心するとともに、「普通に打つというのはどういうことなんだろう?」と、いろいろ悩んだりもした。
ようやく。自分に「初段」の自信がついてきた頃から、シタテに対して「ちゃんとした(当社比(笑))」置き碁が打てるようになってきた。シタテが私に勝って、そして石を減らしてくる喜びが感じられるようになってきた。相手によって「ウワテから攻めるべき箇所」の選択もできるようになってきた。
私の、級位者のうちの置かせる碁は滅茶苦茶だった。シタテの人たちに迷惑をかけたと反省してる。そしてそれは自身にも跳ね返って、成長を遅らせることに繋がったと思う。
級位者のうち、置き碁はなるべく避けるべきだと思う。どうしても打たなくちゃいけない場合には、ときに腹立たしく感じることもあるだろうけれど、ウワテに自分の碁を見せて、ひどい箇所を指摘してもらった方がいい。級位者のうちにする「勝ち負けを競う置き碁」は、自分自身と、それから相手にとっても、百害あって一利なしになる可能性が高いのだと思っていて欲しい。
「手が荒れていますね」。そういう言葉をウワテから聞くのはとてもショックだ。とくに自身に「指導碁」のつもりがあるときには。受けたショックから抜け出せないんじゃないかと思うくらいにショックを受ける。そうなる前に、なるべくなら無意味な置かせ碁を避けて、実力向上を目指すべきだと考えてる。
投稿者 前田博明 : 2004年06月13日 23:25 | トラックバック